

そんな時代の中で現在、まぶたの健康が注目されています。
日常生活から得る情報の大部分は視覚とされ、脳細胞の70~80%が視覚機能と関連していると推測されています。
まぶたは、開くことで視覚情報を脳に伝え、閉じることで目を光や乾燥から防ぎ、保護しています。
皆さんは1分間に約20回、1日約1万9,200回、1年で約700万回、70歳までに5億回 まばたきを繰り返しています。
加齢により、まばたきを繰り返しているうちにまぶたをあげる筋膜(眼瞼挙筋腱膜)が伸びて薄くなったり、瞼板から外れてしまうため、筋肉が収縮してもまぶたが上がりにくくなります。
これを眼瞼下垂(がんけんかすい)と言います。
また、加齢により、まぶたの皮膚がたるんできて目の前に垂れ下がってくることで視野の妨げになる場合があります。
これも広い意味での眼瞼下垂と考えてよいでしょう(偽性眼瞼下垂といいます)。
眼瞼下垂の方は、視界の特に上の方が見にくく、知らず知らずのうちに頑張ってまぶたを上げようとして目の奥が痛くなったり、おでこに力を入れて引き上げようとするため、頭痛や肩こり、自律神経失調や不眠の原因となっている場合があります。眼瞼下垂は40~50代から見られ、70代ではほとんどの方に見られる、ポピュラーな疾患です。
日本形成外科学会 眼瞼下垂症診療ガイドライン(2015年)によると、次のように定義されています。
ここで、MRD1という言葉が出てきます。
これはアメリカの眼科・眼形成外科医のプッターマンらが名付けたMargin Reflex Distance 1の事で、
分かりやすく言うと リラックスした状態で正面を見ているときの、黒目の中心から上まぶたの縁までの距離の事です。
MRD1が2mm以下のかたが、眼瞼下垂ということになります。
ちなみに上の写真は同一の方で、左は眼瞼下垂の術後、右は手術前の状態です。
また、もう一つの基準として挙筋機能というものがあります。
眉毛の上を押さえておでこの力を使わないようにして、最も下を見たときと最も上を見たときの上まぶたの縁の移動距離を測定します。
この方法は、正確に言えばミューラー筋の動きが数mm加味されていますが、簡便で頻用されています。
8mm以上で正常、4~7mmで中等度~軽度下垂、3mm以下で重度下垂とされています。
MRD1と挙筋機能のいずれかの検査により眼瞼下垂と診断された場合は、治療の対象となります。
“皮膚のたるみだけ”をとればよいかたに適応になります。切開を外側に伸ばすことで目じり付近のたるみも改善できます。また、ROOFというまぶたの裏にある脂肪も減量可能です。ふたえまぶたを希望しない方にも適応があります。さらに、眉毛を剃ってお手入れされている方は、ある程度眉毛の形も整えることが出来ます。
術後の腫れが比較的少なくて、目元の印象は自然な感じの仕上がりになります。
デメリットは、眉の下に線状の傷跡が残ります。当院では吸収糸で中縫いを丁寧に行っていますので抜糸後の傷跡はほとんど広がることはなく、6カ月を過ぎるとほとんど目立たなくなります。また挙筋前転が必要な場合は時期をずらして実施する必要があります。
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術前 | デザイン | 術直後 | 術後3カ月 |
MRD 右-1mm 左0mm かなり見づらそうです。 |
最大幅16mmで切除しました。 | 視野が改善しました。 | 傷の赤みがまだ少し残っています。 おでこの緊張もなくなりました。 |
こちらも“皮膚のたるみだけ”をとればよいかたに適応になります。任意の幅でふたえを作ることが出来ます。ROOFあるいは眼窩脂肪の減量も可能です。また術中に挙筋前転術が必要と判断した場合は、同じ傷の中で操作が可能です。傷跡はふたえの奥に隠れるため、ほとんど目立たなくなります。
デメリットとしては、縫合した周辺の内出血とむくみがすこし長引く点です。また皮膚のたるみが非常に多い場合は縫い目の上下で皮膚の厚みに差があるため、やや不自然な二重になることがあります。まぶたの周りの皮膚に炎症を起こして赤みが強い方は、術後きれいな皮膚と赤い皮膚が縫い合わされて色調が揃わないことがあります。
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術前 | デザイン | 術直後 | 術後3カ月 |
MRD 右0mm 左1mm まぶたが重くて眠たそうに見えます。 おでこの緊張もかなり強めです。 |
最大幅11.5mmで切除し 重瞼作成しました。 |
視野が改善しました。 | 左側はすこし後戻りがあります。 おでこの緊張もなくなりました。 |
眼瞼挙筋腱膜がゆるんでまぶたが上がらないかたが適応になります。任意の幅でふたえを作ることができます。ROOFあるいは眼窩脂肪の減量も可能です。傷跡はふたえの奥に隠れるため、ほとんど目立たなくなります。
デメリットは②と方法とほぼ同様ですが、筋膜などの深部操作が加わるため内出血とむくみがすこし長引く点です。また皮膚のたるみが非常に多い場合は縫い目の上下で皮膚の厚みに差があるため、やや不自然な二重になることがあります。まぶたの周りの皮膚に炎症を起こして赤みが強い方は、術後きれいな皮膚と赤い皮膚が縫い合わされて色調が揃わないことがあります。下垂の程度が高度のかたは様々な筋肉でまぶたをあけようとしており、それが術後に緩んできて眉間や目頭、目じりにシワが目立つようになることがあります。
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術前 | デザイン | 術直後 | 術後3カ月 |
MMRD 右-1mm 左0.5mm がんばってまぶたをあけているのですが非常に見にくそうです。 |
最大幅8mmで切除し 挙筋前転と重瞼作成しました。 |
視野が改善しました。 おでこの緊張もなくなりました。 |
まぶたのむくみが少し残っています。 左右バランスは良好です。 |
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術前 | デザイン | 術直後 | 術後3カ月 |
MRD 右2mm 左0.5mm 左側はとくに見にくそうです。 おでこの緊張もかなり強めです。 |
最大幅10mmで切除し 挙筋前転と重瞼作成しました。 |
視野が改善しました。 おでこの緊張もなくなりました。 |
腫れはきれいに退いています。 左右バランスは良好です。 |
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術前 | デザイン | 術直後 | 術後7カ月 |
MRD 右1mm 左1.5mm 右側はとくに見にくそうです。 おでこの緊張も強めです。 |
最大幅9mmで切除。 眼輪筋とROOFも切除しました。 挙筋前転と重瞼作成しました。 |
視野が改善しました。 いろいろ操作したため腫れが強めです。 |
おでこの緊張がなくなっています。 腫れも引いて左右バランスも良好です。 |