こんにちは。岡山大学病院リンパ浮腫専門ケアチームの本田です。光生病院リンパ浮腫治療センターの方々と連携して、リンパ浮腫患者さんのケアに日々取り組んでいます。最近では、昨年の光生病院リンパ浮腫セミナーで紹介され、使用が開始された「セルフケア手帳」を活用して、浮腫状況や経過を患者さんと確認しながら治療を進めています。


それでは、今回のコラムのテーマである「弾性ストッキング」の工夫についてお話ししたいと思います。



○ 弾性ストッキングの劣化を防ぐ工夫


弾性ストッキングはリンパ浮腫治療になくてはならないものです。毎日着用するのは大変なことだと思いますが、大変な思いをするだけの浮腫改善効果がありますよね。

医療用の弾性ストッキングは市販のものに比べて耐久性が優れており、「弾性着衣等装着指示書」の保険適用がある方には購入費の支給も受けられます。

しかし、「弾性着衣等装着指示書」の発行時期に合わせて6ヶ月ぶりに来院される下肢リンパ浮腫患者さんで、太ももの周径が増えていたり、自覚的にも浮腫状態が悪くなったと言われる方が多くいます。体重が増えたわけでもなさそうです。

セルフケア状況を確認すると、弾性ストッキングを毎日着用されており、他にも浮腫が増強する要因はなさそうです。





そんな患者さんのストッキングを確認すると、太もも部分にわずかに伸びすぎた劣化が見られることがあります。苦労して毎日着用しているストッキングですが、劣化のせいで効果が存分に発揮されておらず、浮腫状態が悪くなってしまうのは勿体無いですね。

そこで、ストッキングの更新時期まで圧迫力を長持ちさせるための一手間を、おすすめしたいと思います。





ストッキングが伸びてしまうのを予防するには、着用時の引っ張りあげすぎに注意することが大切です。

ストッキングの着用時に、足の付け根まで引き上げる際、太もも部分をかなり引っ張っていることがあります。股部分が下方にずれてしまった時も、膝から上の太もも部分だけを引き上げて合わせている場合が多いようです。

そうすることで、太もも部分だけ余計に伸びて劣化してしまい、圧迫圧が弱くなってしまいます。つまり、「弾性着衣等装着指示書」に合わせて買い替えするまで圧迫圧が保てないということになり、結果的に浮腫の悪化に繋がっているようです。

そうならないためには、、、



◆ ポイント


ストッキングの着脱時には、太もも部分だけではなく、ストッキングの生地を全体的に均等に伸ばすように、下方のふくらはぎ部分から順に引き上げていくことが必要です。

そうすることで、太もも部分が伸びてしまうのを防ぐだけでなく、その後ずれ落ちてしまうのも予防できます。

弾性力があるため、大きく伸ばすほど元に戻ろうとする力も大きくなり、ずれてしまうのです。



◆ チェック


最近、いろいろなメーカーからフィッティンググローブという商品が出ています。グローブの使用に慣れるまでは「やっぱり素手の方が履きやすいわ」と思われるかもしれません。ですが、慣れてしまうと、小さな力でストッキングを着用することができるのでとっても便利です。爪でストッキングを傷つけてしまうことも防ぎます。
外出時にも、携帯すると便利ですよ。





○ 普通のストッキングを履いているように見せたい時


しっかりした圧迫力を発揮するために、弾性ストッキングは厚手のものが一般的です。ですから、スカートの時や足首が見える洋服を着用する時には、着用をためらうこともあるかと思います。

そこで、ある患者さんがしていた工夫をご紹介します。

弾性ストッキングを着用した上から、普通のストッキングを重ねて着用するという方法です。

すると、下の写真のように自然なストッキングに見えますよね。





この方法を教えてくださった方は、太もも部分の左右差が大きいリンパ浮腫の方です。

浮腫の状態は患者さんによって様々ですし、その分、様々な悩みがあると思います。

私たちは、リンパ浮腫治療について専門的に患者さんに関わらせていただいていますが、いろいろな日々の工夫は患者さんに教えていただくことが多くあります。

そんな情報の中から、悩みを解決できる情報をお伝えできるかもしれません。

もし、お困りなことがあれば、ご相談くださいね。



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